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■クジラとイルカの違い
鯨類には81種類程度のものが知られています。
鯨類は大きく分けて、ヒゲクジラ類とハクジラ類に分かれます。
ヒゲクジラにはシロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、セミクジラ、ホッキョククジラ、ニタリクジラ、ミンククジラやザトウクジラなど11種類がいます。
ハクジラにはマッコウクジラ、ツチクジラ、アカボウクジラ、ゴンドウクジラ、シャチやイルカ類など70種類にものぼります。
一口にクジラと言っても大きいもの体長30メートルに達するシロナガスクジラから、小さいものは1メートルそこそこのコガラシネズミイルカまで多様です。普通4メートルより大きいものを「クジラ」、これより小さいものを「イルカ」と呼んでいます。
■「幻のくじら」って!?
中でも、南極海の調査捕鯨で捕獲される大型のナガスクジラは非常に味が良く、尾の身の価格は松坂牛にも匹敵するほどの高値で販売されています。もっちりとした食感できめも細かく、とても美味しいのですが、南極海のナガスクジラは現在捕獲が困難で「幻」とも言われるほど希少な商品となっているのが残念です。 当店の取り扱いの鯨は、調査捕鯨の副産物のミンククジラ、イワシクジラ、ナガスクジラのほか、アイスランドから輸入されたナガスクジラ、ノルウェーから輸入されたミンククジラなど取り扱っております。 ヒゲ鯨類は、生のお刺身に最も向いており、五臓六腑食べられますが、歯鯨類(小型鯨)はヒゲ鯨類より癖があるのでお刺身よりも加工品に向いてます。(※当店は歯鯨類の取り扱いはございません)
■鯨肉を見分ける力、目利き
クジラは工業製品とは違って、自然のものです。1頭1頭、クジラの性質は異なります。調査捕鯨のクジラは捕獲されたら、船の上で解体されすぐ急速されます。そのため30数年以上も前の商業捕鯨時代より冷凍の技術が進み鮮度も良いです。船の上で生産された鯨肉を企業は仕入れるのですが、そこから選別と目利きがとても大事です。
工業製品ではないため、同じ種類の同じ規格のものでも、まったく同じものではありません。部位毎に単純に選別するわけではなく、この部位はとても綺麗で上質だから、こちらの製造に使おう、この部位のこの部分はあまりよくないから、こちらの製造には使わない、あっちの製造に使ったら上質な商品に化けられる、など細かく選別します。
例えば特に加工を加えない赤肉のカット肉でも、鮮度もチェックせず、また肉質の選別せずにぜんぶ一律でカットして同じ商品として出せば効率は良いですが、商品にばらつきが生じます。
それが、生まれて初めて鯨肉を食べた人の口に入ったらどうでしょうか。「くじらってこんなもんなんだ、美味しくない」と覚えたら、もう次はありません。
実際、新規で取引しているところで、鮮度が悪い肉が出回ってる商品もあるようです。
くじら肉が豊富にあるのなら、また次に食べる機会があったり、周りの人が「ああ、そのくじらは外れだったんだね、こっちのくじらは美味しいよ」と教えてくれることもあるかもしれませんが、くじら肉を食べる人口が少ない現在、その機会があるでしょうか?
最初に口にするくじら肉って本当に大事なことです。
■くじらの商品名は、地域性で付けられる
同じ名称のくじら商品でも、その地域、お店やメーカーによって原料や部位が異なる場合はよくあります。
例えば、塩漬けした『塩くじら』は福岡では塩赤肉のこと、佐賀県では塩本皮のこと、長崎では皮と畝須(うねす)を使った切り畝(きりうね)のことです。この中でも弊社の切り畝は、最高級の部位と何度も製造過程の中で厳しい選別に合格したものだけを使っています。
ただ時代は流れ、塩を落としたり湯引きする調理が面倒だという声で、そのまま簡単に食べられる「湯かけくじら」が別商品で生まれました。しかし切り畝の人気も根強いのは、食べる直前に作る抜群の鮮度力、一枚一枚が湯かけくじらより厚く、煮物に入れてもくじらの旨味だけではなく、くじらをしっかりかみ締められるからです。